暗闇仕留人の感想
「暗闇仕留人」は必殺シリーズ第4弾、中村主水シリーズ第2弾。「仕置人」を解散した中村主水が、半次、おきんと再開し、偶然出会った義理の兄弟である、糸井貢(三味線弾き)、村雨の大吉(石屋)と「仕留人」を結成する。目的は「仕置人」とほぼ同じである。そして、全体的には仕置人に続いてとても面白い。しかし、この「仕留人」は、私が思うに「1話完結であるがゆえに起こる矛盾点」が多かったように思える。
<時代設定>:まず時代設定は幕末であるが、最終回以外で、幕末を大きく意識した回があっただろうか。唯一あるとすれば、半次やおきんの販売している品やお城に謙譲されている品くらいであろうか。これからシリーズを続けて行こうとするのであれば、このままでは明治時代となってしまう幕末にあえて設定し、また、その背景を活かした話しが少ないのは何かもったいない。結局、その続きとなる「必殺仕置屋稼業」では、時代は江戸に落ち着いている。
<半次>:15話で姿を消してしまった。いくら田舎で悲しいことがあったからと言って、そのまま帰らないと言うのはどうなのか。また、別の話しで、おきんが仲間を抜けたいと言った際に仲間の話し合いで、「俺たち仕留人の掟は」みたいなことを言っていたこともあり、勝手に仲間を抜けた形になっているのはどうも納得の行かない話しの進み方であった。
<りつ>:1度、「妊娠をしている。」との説明あり。その後、どうなったのか気になっていたが、何話か過ぎたあたりで、せんが主水に向かって「種無しかぼちゃ」と言って、妊娠をしていないことが明かされた。その後の「必殺商売人」では、殺し屋の主水が子を持つことの意味を考える設定であっただけに、なんとも軽い話しに見えてしまった。
<糸井貢>:舞台袖での三味線演奏者であったが、いつも間にか絵描きに転職をしており、そのためか、殺しの武器もバチに仕込んだ刃物から、自動飛び出し針に変わってしまった。必殺シリーズにおいては殺し業や職業は最後まで貫いて欲しいと思ってしまう。
<密会場所>:最初のうちは神社のお堂のような暗く狭い場所で、5人で密会していた。しかし、後半は石屋の家で堂々と裏家業の相談をしており、時にはうっかり敵に話しを聞かれてしまい、その相手を主水が切り殺す場面もあった。義理の兄弟だから日頃も仲が良い設定はわからないでもないが。
<主水>:お金を受け取っているのに、殺しに参加しない回があった。
<頼み人>:大吉は殺しを頼み人に見られているのに、そのままとしている場面がある。裏家業より正義の味方が強かった解釈なのだろうか。
<頼み料>:仲介人や元締めがいるわけではないが、金額がいつも偶然にも5両となっている。また、半次は抜けたあとは、更に偶然が続き、4両となっている。
<仕留人>:偶然集まった仲間であるが、いつからか「どこかにうらみを晴らしてくれる仕留人と言う人がいる。」と仕留人と言う名称が認知されているようになる。
この様に矛盾点が起きるのは、おそらくだが、メンバーの個性が、「仕置人」と比較して、はっきりとは確立されていないことから、毎回、変更となる脚本や監督が試行錯誤をして行く中で、ストーリーに一貫性が持てなかったのではないだろうか。
ただし、話し中に流れる音楽はとても素晴らしい。幕末と言う雰囲気が本当にお洒落に出ている。
糸井貢の殺しの武器が変わったのは、中盤で奥さんが殺されたのをきっかけにしています。
返信削除その辺りは、少しだけ連続モノのようなストーリーです。
コメントいただきありがとうございます。返信が遅くなりまして申し訳ございません。
削除あやが亡くなったことで、貢は表と裏の仕事にも変化をつけたかったのもしれないです。元から裏家業について思い悩んでいたところから、身内の死によってプロとしての自覚へ変わっていったのかと。改めて思いました。そう言う部分で、連続モノになっておりました。ありがとうございます。